ゼミ特別演習(2)

2008年度、2回にわたって、関西大学社会学部・富田英典教授(社会学)を お招きして、特別講義をいただきました。富田先生には、電話や携帯電話に関 する文化研究をすすめておられます。

9月26日

テーマ 「若者とのつきあい方」(1)
講義内容 フリーターとは、15歳から34歳に占めるアルバイト・パート・無職の割合を言う。
ニートは、「Not currently engaged in Employment,Education or Training」の略で、日本語訳は「教育を受けておらず、労働しておらず、職業訓練もしていない」英国政府が労働政策上の人口の分類として定義した言葉。(出典:ウイキペディア)。
日本では、それぞれの定義が、内閣府や厚生労働省とで異なるので、その推移のグラフが異なる。

”ポスト青年期の登場”

山田昌弘、宮本みち子によると、青年期から成人期へと移行する段階の間に、「ポスト青年期」が登場したとし、以下のように分類する。

フリーター・・・高校や大学を卒業後も就職せず、アルバイトを続ける。
ニート・・・・・進学もせず、仕事もしない。
ひきこもり・・・仕事もせず、家や自分の部屋に閉じこもったまま、社会的な関係をもたない。

戦後まもなく公開された映画「青い山脈」は主題歌にもみられるように、戦前の暗いイメージを払拭する歌詞が用いられ、セリフの中には、自分の生き方は自らの考えで切り開いていくという表現がみられる。これを社会的性格の変容として類型される。戦前においては、伝統を重んじ、代々継承される概念、通念にもとづいて 個人の人生観が築かれ”外的傾向”が顕著で、戦後(終戦直後)個人の意思や感情 を重んじる”内向指向型”へと変容した。前者では、”伝統”が指針となり、後者 では、自身の思想や考えが”羅針盤(ジャイロスコープ)”となる。(出典:富田、原、富田「消費社会と社会的性格の変容」)

テレビの登場により、メディアの主要な形態が、映画からテレビに移行する中、青春ドラマが放映されるようになり、そこに登場する人物像が、若者のあこがれの対象となる。ここで青年期の社会的性格は、自分の生き方をそのような登場人物になぞらえ、モデル化することによって生き方を探るという”他人指向型”へと変容した。(出典:同上)

さらに、70年代から90年代には”自己のアイデンティティへ固執し、内側に超人的な能力をもつアニメのヒーロー”が登場する番組が放映されるようになった。それを視聴する若者は、そのキャラクターになぞらえ、自己の能力もいつかは開花するであろうという希望や期待を抱くようになり、これを”ナルシスティックな自己イメージ指向型”と定義し、自分の関心が内面に向かい、他との交渉が消極的な、”バリア”を築く傾向に変容した。(出典:同上)

同時にそのことは、自己の内面に正直に、かつ忠実にあろうとする若者の出現でもある。
今夏、北京オリンピックのメダリストたちのインタビューの答え方が、優等生的であったのか。結果を出すために「使命感や周囲への感謝の気持ちをもたせる」ためにメンタルトレーニングされている。(日刊ゲンダイより)

10月4日

テーマ 「メディアと同調様式」
講義内容

メディア(テレビ・テレビゲーム・インターネット・固定電話・携帯電話)の普及率。

  • 1.テレビ
    一日あたりのテレビの視聴率は、約3時間半程度の推移を保つが、大学生は「1時間以内」である。(NHK放送文化研究所データ)
    30分ごとの平均視聴率は、午前8時前後、午後12前後、午後19時から22時で、ピークがある。
  • 2.テレビゲーム
    小中学生の3割以上が、一日2時間以上、テレビゲームをしている。女子より男子の方が長時間、ゲームをしている割合が高い。(ベネッセコーポレーションのデータより)
  • 3.インターネット
    平成18年までに、インターネットの人口普及率は、約7割にのぼる。(平成19年度「情報通信白書」より)
    2006年において、世帯普及率は約8割、人口普及率は、約7割にのぼる。利用平均時間は、約1時間16分。(総務省「情報通信白書」より)
  • 4.携帯電話
    10代、20代での携帯電話の利用時間が長く、平均1時間48分利用。携帯電話の普及率は、2007年3月までに、約9割を推移する。(総務省「情報通信白書」より)
    固定電話の設置回線数は、微減傾向にあるが、携帯電話の回線数は、平成12年に固定電話 の回線数を上回り、平成16年度現在、9,000万回線こ越える。

メディアの普及にともなう社会現象

各種メディアの普及にともない、さまざまな新たな社会現象を生んだ。長崎県佐世保市での掲示板をの記載をめぐるトラブルから、小6女児が同級生を殺害するという事件が発生。有害サイトへ安易に接続でき、通信各社もフィルタリング機能をもりこむようになった。公共輸送機関では、携帯電話の電源オフを促す宣伝も行なわれる。インターネット利用では、専業主婦の利用率が高く、インターネットを通じて出会いの機会とする傾向もみられる。「プロフ」「りある」のような書き込みサイトが、ローティーンからハイティーンの世代に広がる。

【まとめ】

現在の若者の傾向として、「他人指向型」からナルシスティックな「自己イメージ 指向型」へと移行してきた。犯罪などの社会現象の背景に「同調様式の四類型」がある。社会現象、行動様式の背景に「技術決定論」「社会決定論」に対応する「消極的 ・無自覚的」「積極的・自覚的」な尺度から、どのように適応行動するかによって、「四類型」に分類される。大部分は、「適応型」におさまり、日常生活を送るが、犯 罪をおこすなどの事案は「過剰同調型」に分類される。

ゼミ学習のあと、三宮で、富田先生を囲んでの懇親会

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