教育目標の詳細

1.生活分野を広く学び、生き方をさぐる。

生活に関連することはとてもたくさんあり、生活の仕方もいろいろです。食べることが生き甲斐という人もいます。でも「おなかが膨れればよい」として、あまりこだわらない人もいるでしょう。着ることの方がずっと大事という人もいます。子育て最中の家族にとっては、生活の中心は育てることです。恋愛をはじめとする人間関係に悩む人もいるでしょう。一方、生活の中心は音楽という人もいます。このように生活は多様な面をもっています。

生活学科ではこのような多様な生活に応えるものとして「衣」「食」「住」にとどまらず、「心理」「社会」「情報」「健康」「美容」「福祉・保育」「音楽・舞台」等の多彩なカリキュラムが用意されています。生活していくということは、これらの一部だけに係わることではなく、大なり小なりこの全部と係わってきます。ですから、よりよい生き方をさぐるためにはこの全部に関してある程度の知識と知恵があった方がよいのです。ある程度学んだあとは、自分の関心によって、より深く追求することにより、個性のある豊かな生活が得られ、場合によっては仕事にも繋がっていきます。

ところで、豊かな生活とはどのような生活でしょう。これは難しそうに見えて、必ずしもそうではありません。簡単に言えば、自分の手持ちの札を多く持ち、場合に応じてそれを出していくようにすればよいのです。例えば料理をたくさん知っていて、時に応じてそれを出して行けば食生活は豊になるでしょう。毎日同じ物ばかりではいけません。それでは味気ないです。ファッションの場合も、組み合わせをいろいろ考えつくことができれば、少ない衣服で豊かな衣生活を送ることができるでしょう。このように生活のあらゆる面で手持ちの札を多くできればよいのです。単に知っているレベルではなく、使える知識や技術を多く持つ必要があります。生活学科はこれに答えるために、広い生活分野の科目を用意しております。また広く履修することを奨励しております。

例を挙げると、次のことができるようになることを生活学科では大切と考えています。

  1. 健康で美味しい食を作ったり、用意することがたくさんできる。
  2. 他人と上手なつきあいができる方法を知っている。
  3. 似合いかつ健康なファッションと美容を享受できる。
  4. 住みよい住居にするいくつもの工夫を知っている。
  5. 心の健康を維持できる術を知っている。
  6. 子供の教育の問題に対処できる。
  7. 人生を楽しめること。人生に意義を見出す考え方を知っている。
  8. 経済的安定を図るいくつかの手段を身につけている。
  9. 音によって感情をコントロールする方法を知っている。

2.生活および仕事のための基礎力(人間関係力、美的感性など)をつける。

「基礎」と言うことばをよく聞く機会があると思いますが、基礎とはなんでしょう。基礎とは学んでいくうえで身につけていた方がより進歩する要因となるものです。今は社会の移り代わりが激しいので、学ぶことは一生続けるものだという考え方が浸透してきています。そのためにも学生時代に基礎を身につけておく必要があります。基礎にはいろいろありますが、生活学科では次の3つが特に大切と考えています。その3つとは「人間関係力」「美的感性」そして「広い意味での研究力(仕事力・生活力)」です。

2-1.人間関係力

人間関係力は普通に思われている以上に重要な力です。人間は他の動物と比べた時、互いに力を合わせて何かを行うことが、格段に多い存在です。企業でも一人で仕事をすることはほとんどありません。グループで力を合わせてすることが多いのです。人間関係力の基礎は、他人の気分や気性、動機や要求などを的確に読み取り反応できる力です。しかし単に反応できるだけではいけません、前提として相手に対する思いやりがとても大切です。

最近コミュニケーション力の大切さについての話をよく聞きます。この力の根本は人間関係力です。ですから生活学科では人間関係力を大切な基礎力とみています。 「コミュニケーションスキル」「人間関係論」その他の授業で相手の立場になって考えるとはどういうことかを学びます。

2-2.美的感性

基礎力の第二は「美的感性」です。企業は何かを生産し売ることが活動の基本です。ですが、現在は単に実用的な物が売れるわけではありません。美しいということが売れる重要な要素となっています。この理由は、社会にいろいろな意味で余裕ができてきたからです。不景気好景気の波はあるでしょうが全体として美しい物に価値を見出すことがますます増していくでしょう。美的感性をつけるための科目も数多くあります。「カラーコーディネート論」「デザイン」「美と健康クッキング」「インテリア計画論」「プレゼンテーション演習」をはじめとして生活学科の専門科目の多くは、美的センスをつける上でとても役にたつものです。また音は人間の感情に大きな影響を与えるもので「音感性」を磨くこともとても大切と考えています。

2-3.広い意味での研究力(仕事力・生活力)

高校までの教育と短大や大学での教育で最も異なる点は、卒業論文を通じて、研究的なことを学ぶ点です。では研究的なこととはどういうことでしょう。それは何かについて(1)疑問を持ち、(2)その疑問について調べ、考え、(3)まとめて、発表することです。このような研究的なことは研究者だけに必要なことでしょうか?もしそうならばほとんどの人は研究者にはならないのですから、大学で学ぶ意味はありません。 卒業後必要な事は仕事や生活をしていく力(仕事力や生活力)です。実は研究的なことをする力は仕事力や生活力ととても強く関係しているのです。だからこそほとんどの大学で卒業論文を中心とした広い意味で研究的なことを学びます。

仕事する上での第一歩は(1)課題・目的・目標を持つことです。これらの課題等は他人や会社等から与えられる場合もありますが、自分で見つけることがとても重要です。次の一歩は(2)課題・目的・目標を解決するための方法を文献で調べたり、人に聴いたり、自ら考えたりします。そして最後にある程度の方向がでたら(3)実行します。ここで述べた仕事に必要な三段階は研究での三段階と非常に似ております。だからこそ研究的な力をつけることが仕事をする力となるのです。

また生活をしていくことも今述べた三段階が現れます。第一歩は何らかの(1)課題や要求や希望が存在することです。第二は(2)その要求や希望を実現する方法を人に聴いたり、インターネットで調べたり、考えて判断します。そしてある程度の方針がでたら(3)実行します。生活の中でも研究と似たような三つの段階があるのです。

このように研究的なことを学ぶことは仕事をしたり生活したりする力をつける上でとても重要なことです。この三つの段階で意外に重要なことは最初の段階です。研究なら疑問を持つこと、仕事なら課題・目的・目標を持つこと、生活の中のことなら要求や希望を強く持つことです。これらが無いとそもそも始まりません。短大ではこの三つの段階を1年前期から「情報検索」や「見えない世界」等の科目で学んでいきます。